家づくりにおいて多くの方がこだわるのが、間取り。にもかかわらず、建てた後、その間取りや広さに約2割の方が不満を持っているといいます。
不満の原因のひとつに、家事動線を意識できていないことが挙げられます。毎日のことだから、効率と利便性を意識した家事動線で過ごしやすい間取りを考えましょう。
■POINT① 無駄のない家事動線と回遊動線
料理や洗濯、掃除といった毎日の家事の負担を軽くするためには、無駄のない家事動線が欠かせません。
「家事動線」とは文字通り、家事をする際に移動する経路のこと。特に朝や夕方などは料理しながら洗濯や掃除、子どもの世話をするなど、いくつもの家事を同時に行うことが多く、気づけば洗面室とキッチンを何往復もしていた…なんてことも。
この家事のための経路の無駄をなくす、つまり、キッチンや洗面室(洗濯機等)、洗濯物を干すスペース(ベランダ等)をなるべく近い場所に配置し、移動にかかる時間を短縮できる間取りを考えることが基本となります。
■POINT② 調理手順をふまえてコンパクトに配置
「広いキッチンに憧れる」という方も多いですが、実は広すぎると無駄に動くことになり、調理の際の作業時間も長くなってしまいます。
冷蔵庫から食材を取り出してシンクや調理台で調理し、棚から食器を取り出して盛り付ける。一連の動作を想像しながら、数歩で移動できて自分が使いやすい位置に設備や家電を配置できる間取りにしましょう。
食卓がキッチン横にあると配膳や片付けの手間も減らせますし、家族が自然と手伝ってくれるようになるという効果も期待できます。また、見落としがちですが、意外と重要なのがコンセントの数と配置。
どこでどんな家電を使うのかを考え、事前に配線計画を立てないと使い勝手の悪いキッチンになってしまうので注意しましょう。
■POINT③ モノを使う場所に収納をつくる
家族の集まるリビングは、特に物があふれて散らかりがちです。
これを解決するには、物を使う場所にその物の収納場所を作ってしまうこと。使ったら定位置に戻す、という動作がスムーズになれば、家族全員が片付けるようになります。そうなれば、自然と部屋は散らからなくなり、掃除も楽になります。
最近ではリビングに家族の衣類や鞄を収納して、着替えもできるクローゼットを設ける場合も。洗濯物を一箇所に片付けられて家事が楽になるほか、子どもの着替えや服選びも楽なので、朝の準備にかかる時間を短縮できちゃうんです。
また、ベビーカーや子どもの三輪車、外遊びのおもちゃなどは玄関に土間収納があるとすっきり片付きます。大切なのは収納の量よりも、位置と出し入れのしやすさだということを念頭に置いておくと、片付けしやすい間取りになるはずです。
■POINT④ 「洗う→干す→たたむ→しまう」の動線を考える
洗濯のプロセスは、洗うだけではなく、“洗う→干す→たたむ→しまう”で完了します。
洗濯から干すまでのことは考えていても、たたんで収納するまでの動線を考えていないと家事楽にはなりません。例えば、洗濯機の近くにしまえる場所があれば効率アップにつながります。
もちろんすべての洗濯物を収納するのは難しいですが、洗面・浴室で使うタオルやパジャマ、下着だけでもしまえれば、それだけで負担の軽減になります。
洗濯機、干し場、収納スペースをひとつの場所に集約して、洗濯→干す→たたむ→しまうを効率的に行えるようにすることが、洗濯が楽になる間取りの秘訣です。
■まとめ
今回は、家事ラクをテーマに間取りのポイントを4つ紹介しましたが、いかがでしたか?
家事に使う時間を減らせれば、その分、子育てや自分のために使える時間も増えて、いいことずくめですね。
理想の間取りを叶えるには、事前に要望をしっかりまとめて、もれなく建築士に伝えることが大切。
「こんなふうに暮らしたい」「こんな空間あったらいいな」など思いつくまま要望をノートに書き出してみることから始めましょう。